■BASARA展について

絢爛豪華にして反骨精神を持つ遺伝子が、
今、硬直化した日本に下剋上を突きつける。

華を求め、武を好む「BASARA」の美意識は、絢爛かつ反骨。
その視覚において「贅(ぜい)」であり、同時に心持ちにおいて「破」であるという、二つの要素が一つである一体の美学です。
つまり、目を引く華美な外見とともに、既存の秩序に反抗し、乗り越えようとする脱構築の趣向もまた重要であるという「両義性」の上に成立します。
もともと「婆娑羅(ばさら)」は、中世の南北朝時代に流行した社会風潮で、華美な異風に身を包み、権威を嘲笑し奢侈な振る舞いを好む美意識の持ち主を指す。
今展は、「BASARA」という日本のストリート文化史の特異点から、日本の文化軸と歴史軸をダイナミックに直結させ、美術史を大胆に読み替える新たな試みである。
現代作家の作品はもちろん、縄文土器、金碧障壁画、変わり兜、織部茶碗、浮世絵、日本伝統刺青、デコトラ、グラフィティ、劇画、age嬢のデコ文化など、幅広い分野にわたる。
これらを通して、硬直化した日本の文化観、伝統観、ヒエラルキーに対し下剋上を突き付け、流派ならざる流派「BASARA」の系譜として新たな美の基準を示したい。

-天明屋 尚(主催・企画・キュレーター)-


■出品協力(展示品)について

黒漆塗割蛤兜
黒漆塗割蛤兜 [江戸時代]
■この兜の構造 張懸兜である。本体の兜鉢は、兜巾形である。
■兜巾とは 山伏と呼ばれる修験者の冠る頭巾で、頂上で絞って結び十二の壁を作った。
これは、仏教による十二因縁を象ったものである。
■貝の意匠 「甲斐のある働きをする」という意味があり、貝をモチーフにしたデザインは時々甲冑に見られる。
■蛤の例え 蛤は、口を開くことが大変難しいことから「口を割らない」ことの例えにもされます。
■兜巾と蛤の
 意匠の意図は?
修験者信仰の武将が敵を調伏すると言う気持ちの表現と、どんなに強固な敵が来ても
蛤の殻を割るように進んでみせるという、武将の意気込みを示しているように思う。
鉄黒漆塗錐形兜
鉄黒漆塗錐形兜 [桃山時代]
■伝来 土佐山内家の家老の家に伝わった兜。
■「小」「大」の意味 どんな小さいものから、どんな大きなものまでもと言う「すべて」を意味する。
■この兜の意匠の意図は? すべての物を、錐の如く貫き通すという武将の意気込みであろう。
■大きなデザイン・
 高さのあるデザインは、
 なぜ?
当時の合戦場は、見晴らしの良い平地が主であった。
そこで、大きなデザインや背の高い兜が、遠方からでも良く見える
威容のある姿である。